第3弾 前田知恵さんスペシャルコメント

『大秦帝国』で秦の礎を築いた男たちの魅力に、女性視点から迫る!

激動の中国戦国時代に、国の存亡を賭けて一台改革に取り組んだ孝公と商鞅。今回は、彼らの強い絆を描いた中華歴史ドラマ列伝シリーズ『大秦帝国』の魅力を、前田知恵さんにたっぷり語っていただきます。

Q:『大秦帝国』で描かれる中国戦国時代についての印象は?

前田:確か「史記」に記されている時代だったかな...という感じで、詳しくは知らなかったんです。でも作品を観ていると、部分部分で「この話知ってる!」というシーンがいくつもあったんです。書物とかで読んだ故事とかだったんだと思いますが、すごく惹きつけられましたね。

Q:具体的に、どんなシーンだったのでしょう?

前田:孝公が商鞅を登用して直接面談をした際、商鞅はわざと的外れな話題をふって、孝公がどんな改革を望んでいるのか探っていくシーンです。後で調べてみたら「史記」にも載っているとわかって、あらためて当時の歴史そのものにも興味が湧いてきました。そもそも『始皇帝暗殺』(98)や『HERO』(02)は観ていますが、始皇帝以前の時代の作品を観たのが初めてです。始皇帝より前に、こんなに活躍していた英雄がいたんだと、本当にすごいと思いましたよね。

Q:『大秦帝国』で、特に注目された人物を教えてください。

前田:やはり商鞅ですね。彼の行動力、判断力、洞察力はすごい! 私欲を抑えて、筋を通して、志を持って国に尽くす。すばらしいリーダーそのものでした。でも、頭が良いだけでなくロマンスが描かれているのもいいですよね。商鞅と、彼に心惹かれた白雪の別れのシーンが最高でした。女性として心から魅了されるシーンですよね。愛する商鞅が信じた道を進めるよう、背中を押してあげる彼女の姿にも共感しました。

Q:もう一人の主人公、孝公についてはいかがですか?

前田:秦の歴史を追っていくという意味では、孝公の生き様と活躍にも、強く魅了されますよね。孝公を演じられた侯勇(ホウ・ヨン)は、『レッドクリフ』では魯粛をコミカルに演じられて、「末代皇妃 ~紫禁城の落日~」にも出演されていますし、幅広く活躍されているんだと驚かされました。「大明帝国 朱元璋」の胡軍(フー・ジュン)も、そういえば『レッドクリフ』では趙雲役でしたし、こうして俳優を追いかけて作品を楽しむのも、意外な発見があったりしておすすめですね。


Q:『大秦帝国』をはじめとした中華歴史ドラマの魅力について教えてください

前田:どれも作り手の真剣さが伝わってきますよね。それでいて重苦しくなく、真摯な思いを受け取ることができる、本当に素敵な作品が多いです。エンターテインメントだけに留まらないところが、中華歴史ドラマの魅力ですね。 それと、歴史上の人物が残した偉業を追体験することで「もっと誠実に生きよう」とか「もっと自分に厳しくなろう」といった思いが心に刻まれるのも、中華歴史ドラマならではの魅力ではないでしょうか。

――物語をただ楽しむだけでなく、英雄たちの生き様を通して、その人の心まで深められる中華歴史ドラマ。現在公開中の『大秦帝国』をはじめ、シリーズも続々発売中ですので、じっくりと楽しんでみてはいかがでしょう?

第2弾 前田知恵さんスペシャルコメント

勇敢にして破天荒な英雄・朱元璋!前田さんが明かす、その本当の魅力とは!?

貧しい農民から身を起こし、一代にして明王朝を樹立した稀代の英雄・朱元璋。 今回は、そんな彼の生涯を描いた中華歴史ドラマ列伝「大明帝国 朱元璋」の見どころを、前田知恵さんと一緒に探っていきたいと思います。

Q:「大明帝国 朱元璋」をご覧になった感想はいかがでしたか?

前田:作品を手がけられている馮小寧(フォン・シャオニン)監督が、実は私のデビュー作『紫日』(2001)の監督で、今回の企画をお聞きした時は、ご縁を感じました。中国では"戦争三部作"と言われる作品で有名な方で、その一本が「紫日」なんです。そんな映画出身の監督とあって、物語は、朱元璋が成長していく過程が丁寧に描かれていながら、一話一話もしっかりまとまっていて、おもしろかったです。

Q:監督とは、いまでも交流があるのですか?

前田:昨年の東京国際映画祭でたまたま再会して、いろいろお話をさせていただきました。そういえば「~朱元璋」の冒頭、宴会シーンの王妃は、監督作品の常連女優なんです。朱元璋の夫人・馬皇后を演じた劇雪(チュイ・シュエ)も、母性と芯の強さを感じさせるすてきな女優ですよね。

Q:「~朱元璋」で、監督らしいなぁと思われた点はありますか?

前田:ありました! 監督の作品は、エキストラにスタッフの方がよく参加されているんで。たまに、セリフのある役を演じることもあって、みなさん俳優としても鍛えられているんです(笑)。この前も観ていたら、『紫日』のロケ一緒に内モンゴルまで移動した美術さんが兵士役で出演されていましたし。あの時のチームのまま、いまでも撮影されているんだと思うと、とても懐かしくなります。

Q:キャストで、気になる方はいますか?

前田:朱元璋役の胡軍(フー・ジュン)の存在感が際立っていて、彼の魅力が全面に出ていました。勇敢なだけじゃなくて、破天荒な面もしっかり演じられていて、すごく、かっこよかったです。『レッドクリフ』で趙雲を演じられた時はシャープな印象でしたけど、「~朱元璋」では、とても貫禄が増していたと思います。こんなに雰囲気の違う武将を表現できる演技力は、本当にすごいです。

Q:見どころはいろいろあると思いますが、印象に残ったシーンは?

前田:本編で"酒盛り"のシーンが度々描かれていますけど、そこでの朱元璋の食べっぷりや飲みっぷりの良さにビックリしました! みんなすぐ酔い潰れてしまう中、ひとり平然と飲み食いを続けているんです。"本当に強い人は、お酒にも強い"というか、朱元璋という人物の豪快な気質が感じ取れて、印象的でした。

Q:そんな豪快な朱元璋について、作品を通してどう感じられました?

前田:"自分"をしっかりと持っている人ですね。それでいて師匠や仲間、家族との関係をすごく大切にしている。そこに人間的な魅力を感じました。私の中国の友達もみんな、そういうところを大事にされます。「~朱元璋」には、中国で脈々と受け継がれる良心が詰まっていると思います。

Q:ほかに、気になった人物はいますか?

前田:朱元璋を常に補佐する李善長が、いい味を出していました。歴史ドラマには頂点に立つ人物を、頭脳で支える彼のような存在が必要不可欠なんだなと実感させられました。あとは郭天叙ですね。次々と卑怯な手段で朱元璋を陥れようとするんですけど、朱元璋はそれに真正面から挑むという構図がおもしろいですよね。彼のような役がいて、朱元璋の活躍がより際立ったものに見えると思います。「~朱元璋」は、主人公を支える人物、対立する人物モしっかり描かれています。だからこそ、物語の世界に入り込み易いのだと感じました。完璧なだけじゃなく、内面に問題を抱えた人物たちが支えあい衝突したりしてこそ、ドラマが生まれ、感動するんだと思います。そんな広く深い人間関係にも注目して楽しんで欲しいですね。。

――次回は、公開中の話題作『大秦帝国』をはじめ、中華歴史ドラマ列伝シリーズ最新作について伺いたいと思います。乞うご期待ください!!

第1弾 前田知恵さんスペシャルコメント

:前田さんが語る、中華歴史ドラマ・シリーズの楽しみ方や見どころとは?

新たなタイトル、さらに劇場公開作も発表され、ますます目がはなせない中華歴史ドラマ列伝。そのおもしろさをより多くのみなさんに知っていただくため、スペシャル・サポーターとして女優の前田知恵さんが駆けつけてくれました。多数の中国映画やアジアン・カルチャー番組で活躍する前田さんに、本シリーズの魅力をたっぷり聞かせてもらいましょう! 第1回目は前田さんと中国との出会い、中国映画&ドラマへの思いを伺いました。

:中国の作品に興味を持たれたきっかけは?

前田:高校生の頃に「さらばわが愛 覇王別姫」('93)や「宋家の三姉妹」('97)を観て、身が震えるほど感動したのを覚えています。以後中国映画に魅了されていきました。どちらも歴史モノで、半世紀前の中国の近代史を描いていますが、壮絶な争いや歴史的革命の最中に描かれる人々の心情、愛情、家族愛、苦闘、喜び、知恵など、内面に焦点を当てている中国映画、またその壮大さには特別な魅力を感じました。同じアジア圏に住む者として、社会の真情を反映した中国の作品、また中国語にも親近感が沸き、今後の日本と中国、また自身の将来についても考えるようになりました。そして、好きになった中国の監督や俳優が"北京電影学院"の出身であることを知り、「私もここで勉強したい!」「いつか一緒に映画を創りたい!」と思い、高校卒業後に留学することを決めました。

:留学時に中国の歴史モノに触れることはありましたか?

前田:北京に住んでいた頃は、三国志や水滸伝の話をよく耳にしました。近代の作家では金庸(きんよう)の作品が話題に上がっていましたね。あと中国の人って、私が日本人だと知ると"唐"の時代の話をよくするんですよ。その時代って日本からたくさんの遣唐使が送られて、日中の関わりがすごく深かったですよね。なので「日本人といえば唐の時代」というイメージが強いらしく、よくこの時代のことが話題にあがりました。

:唐の時代を舞台にした作品にも興味はありますか?

前田:あります! そういう企画があったら是非出演したいですね(笑)。実は私なりに、その時代についていろいろ調べたりしてるんですよ。二つの国を結びつけるおもしろいエピソードがあったら映像化して欲しいですね。

:中国の映画と共に、中華歴史ドラマ列伝のような作品が日本でも続々と楽しめるようになったことをどう思われますか?

前田:中国の作品の良さをたくさんの人に知ってもらえることがうれしいです。最近は、技術的にもとてもクオリティが高くなり、内容も奥深く、味わい深い作品が続々と誕生し、新たに創作されて蘇る中国の歴史ドラマから古代の英雄、現代の名優の姿を日本にいながらも観られるようになったのはとても素敵なことだと思います。

:具体的にどういった面が向上したと思いますか?

前田:CGなど新しい撮影方法を多く取り入れるようになっただけでなく、中国の映画製作の規制が以前よりも緩和され、題材も幅広く、表現も自由に、豊かになってきました。また国際的に活躍する俳優・監督も増え、芝居・演出のスタイルなどにも変化があり、これらの表現方法、また放映・放送される地域の拡大なども含め、とても向上していっていると思います。そして中国と言えば、何千年という歴史を持つ歴史大国。その中から興味深く、まだ描かれていないエピソードを探し出して映像化することは、歴史大国だからこそ、そして歴史を重んじる人たちだからこそできることだと思います。その長い歴史を掘り返していけば、おもしろい物語がまだまだ出てきますよね。きっと。

:中華歴史ドラマを楽しむコツはありますか?

前田:例えば"正義"や"忠誠"という言葉は、現代ドラマではあまり使われず、少し違和感を覚えますよね。でも歴史モノや武侠モノみたいに昔を舞台にした作品だと、本当に大切な気持ちとか考え方を、自然なかたちで心に染み込むように感じさせてくれるので、じっくりと腰をすえて観てほしいですね。

:これから中華歴史ドラマをご覧になるみなさんに一言お願いします。

前田:中国映画の一番の特長は、観ることで"学べる"ことにあると思います。中国映画には観終わった後、心に何か良い影響を与えてくれる後味があります。男性ならリーダーを目指す人、トップを目指す人には是非こういった「大秦帝国」のような作品を観てほしいと思います。また女性にとっても、愛する人を支えるヒロインの姿に共感や憧れのようなものを抱けると思うので、想像以上に楽しめると思います。少しでも多くの方たちに観て頂いて、是非ご感想など私の方にも頂けたら嬉しいです!

ありがとうございました。次回は、一代にして明王朝を築き上げた英雄・朱元璋(しゅげんしょう)の生涯を描いた「大明帝国 朱元璋」について、コメントをいただきたいと思います。どうぞご期待ください!