著名ビジネスマンも愛読する「孫子」の兵法を徹底紹介!(2/2)

文:中国エトセトラ編集部

ますます激化する戦いを描いた「孫子兵法」DVD-BOX後篇も好評発売中

兵法を駆使し、楚秦連合軍や強国・越との戦いに臨む孫武

敵味方が入り乱れて展開する合戦シーン。両陣営が繰り広げる奇策の応酬も見どころの一つ。

孫武の指示により、宮廷内の美女たちも戦闘訓練を受けることに

孫武の親友であり、ライバルでもある国無咎(こくむきゅう)

軍事学の始祖として知られる兵法家・孫武の活躍を描いた中華歴史ドラマ「孫子兵法」(DVD-BOX後篇も好評発売中)。今回は、そんなドラマ本編でも度々登場する13篇の兵法のなかから、後半の7篇をご紹介。前回取り上げた6篇と合わせて読めば、ビジネス戦略など、多方面で活用できるはず!

軍争編・・・工夫して先んじよ

敵に先んじて戦場に到着すれば、戦闘を有利に展開できる。そのため、双方は先を争うように戦場へ急行するのである。ただ、先を急ぐあまりに動きの遅い輸送部隊を後方に残しては補給が断たれてしまう。迂回しているように見せかけて欺き、戦場に先着する方法はなきにしもあらず。非常に難しい行動であるが、成功すれば、大きな効果が得られる。

九変編・・・機に臨んで応変せよ

足を取られる「沼地」、四方に通じる「十字路」、自国から離れた「遠隔地」、周囲を囲まれた「袋地」、逃げ道を遮る「死地」など、布陣に気を配らねばならない土地を五地という。将軍たるものは、そういう地にあっても臨機応変に陣容を整え、自軍を勝利に導く采配が求められる。追い詰められたときに九変し、マイナスをプラスに転換しなければならない。

行軍編・・・弱みは情報戦で隠せ

行軍は進路が限られているため、陣が長く伸びて守りが手薄になる。そのため慎重に道を選ぶ必要があるのだが、選択肢は限られている。ならば危険を少なくするしかない。そのためには先遣隊を用いて敵情を視察しなければならない。わずかな変化を見て敵の作戦を察知する洞察力が求められる。

地形編・・・地の利をこちらに引き寄せろ

地形は軍の行動を大きく左右する。地形には「有通」「有挂」「有支」「有隘」「有険」「有遠」の別がある。有通はだだっ広い土地、有挂はハザードの多い土地、有支は谷が分岐している土地、有隘は狭い土地、有険は険しい土地、有遠は戦場への距離を容易に縮めることのできない土地である。将軍たるものは、こうした難しい地形に対処するだけでなく、自軍の有利に働くよう作戦を考えなければならない。

九地編・・・あえて兵士を死地に追いやれ

九地とは軍の動きに着眼して分けた土地の種類である。兵士が逃亡しやすい「散地」、油断を生み出す「軽地」、戦場となる「争地」、縦横無尽に動ける「交地」、交通の要衝である「衢地」、敵地深く入った「重地」、足場や見通しの悪い「泛地」、動きを阻害される「囲地」、逃げ場のない「死地」である。逃げ場を失った兵士は目前の敵にがむしゃらに向かってゆくしかない。つまり、死地こそが速戦強襲の効果を最大限に引き出せる土地である。

用間編・・・スパイはフルに使え

間とは間者、つまりスパイである。ときに一人の間者が数万の大軍と同じ働きをすることがあるため、それを軽んじるものは愚将である。間者には、敵方の民間人である「因間」、敵方の官僚である「内間」、二重スパイの「反間」、偽の情報を敵方に提供する「死間」、繰り返し情報をもたらす「生間」の五種がある。このうち、死間が戦場に最大の効果をもたらすが、処刑される運命が待っている。いわば己の命を賭したスパイであった。

火攻編・・・火攻めは効果的に用いよ

火攻めの効果は絶大である。火攻めには、兵舎に火をかけて人を焼く「火人」、野外の穀物集積地を焼く「火積」、運搬中の穀物を焼く「火輜」、倉庫を焼き払う「火庫」、火事によって道を塞ぐ「火隧」の五種がある。いずれも間者や別働隊がこの任務にあたり、本隊をサポートとする。火攻めをうまく作戦に盛り込んで効果を上げるのが名将である。


"火攻編"は、そのままだとちょっとビジネスに応用できないかもしれないが、以上の13篇では「敵情を知ること」「地形を使うこと」「士気を高めること」「緩急のバランスを図ること」「臨機応変に対処すること」「長期戦にもちこまないこと」などのセオリーが繰り返し語られている。
これらの教えを実践すれば、あなたのビジネスライフはより有意義なモノになること間違いなし...かも?