第17回 中国国家観光局推奨!歴史を意識して行きたい中国オススメ景観スポット!
文:中国エトセトラ編集部3:「大敦煌」では、北宋・清・中華民国という3つの時代にわたり登場する莫高窟
4:現在は博物館として公開されている、承徳の避暑山荘の一角
5:三孔の一つにして、中国最大の孔子廟である孔廟
6:明の皇帝が国費を費やしてまで修繕したという、武当山の道教寺院に
7:現存するものの中では、中国最古の水利施設となる都江堰
8:金の4代皇帝・海陵王(かいりょうおう)によって作られた美しい庭園・頤和園の一角
中国といえば美しい景観スポットがたくさんあり、毎年、海外からの観光客が数多く訪れています。そこで今回は「中華歴史ドラマ列伝」ともゆかりのある、オススメの絶景スポットをご紹介していきたいと思います。また中国国家観光局からも素敵な観光地を教えていただいたので、そちらも合わせてご紹介したいと思います。
「中華歴史ドラマ列伝」縁の観光スポットはこちら!
莫高窟(とんこう・ばっこうくつ)
...シルクロードの主要都市に築かれた、敦煌文献で有名な仏教遺跡 中国・甘粛省(かんしゅくしょう)の都市・敦煌(とんこう)は、匈奴(きょうど)の侵攻に対する防衛の要として、前漢の武帝(ぶてい)により設置されました。その後、シルクロード交易の要所として栄えるものの、唐代中期を境に、西域の強国に攻め込まれるようになり、次第に歴史の表舞台から消えていきます。しかし1900年に、郊外に築かれた莫高窟と呼ばれる仏教遺跡から数多くの経典が発見されて以来、再び注目されるようになり、1987年には世界遺産に登録されました。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
後漢時代のシルクロードを舞台にした「シルクロード英雄伝」や、北宋~中華民国の長期に渡って描かれる壮大な群像劇「大敦煌」で、この都市の魅力を満喫することが出来ます。承徳の避暑山荘と外八廟(がいはちびょう)
...清王朝の歴代皇帝が活用した、中国最大規模の避暑山荘 河北省(かほくしょう)の承徳市に建てられた、清王朝時代の避暑山荘。4代皇帝・康煕帝(こうきてい)によって築造された、現存する中国最大の離宮としても知られています。後に6代皇帝・乾隆帝(けんりゅうてい)により更なる増築が施され、その周辺には中国とチベットの建築様式が融合した「外八廟」と呼ばれる仏閣や廟も建立されました。ちなみに山荘内は、政務を行なうための"宮殿区"と、湖、平原、丘陵地などで構成される"苑景区"の2つのエリアに分かれています。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
乾隆帝以降も、歴代の皇帝たちから避暑地として利用され「末代皇妃 ―紫禁城の落日―」に登場する"ラストエンペラー"溥儀(ふぎ)も、在位時には承徳の避暑山荘を大いに活用していたとか。
三孔(さんこう)
...今なお中国全土から崇拝と尊敬を集める、孔子に縁のある3大施設 中国では、儒家の始祖・孔子(こうし)に縁のある3つの建築物を総じて、このように呼ぶそうです。アジア各国に設けられた孔子廟の中でも、最大の規模を誇る孔廟(こうびょう)。前漢から中華民国時代まで、孔子の直径子孫が代々に渡り暮らしていた邸宅・孔府(こうふ)。そして、孔子とその一族の墓所である孔林(こうりん)がそれに当たります。中でも孔林には春秋時代に建てられた墓碑が今でも残っていて、訪れれば改めて、中国の歴史の深さを思い知ることが出来ます。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
孔子が活躍した時代は、「復讐の春秋 ―臥薪嘗胆―」の舞台となる春秋時代と同時代。劇中に出てくる衣類や建築物、料理などから、孔子はどんな時代に生きていたのかを垣間見ることが出来ます。
武当山(ぶとうさん)
...『グリーン・デスティニー』にも登場する、中国武術発祥の地 湖北省(こほくしょう)にそびえる山脈で、太極拳や八卦掌(はっけしょう)といった中国武術の一派・武当拳(ぶとうけん)の発祥の地とも言われています。山中には道観(どうかん)と呼ばれる道教の寺院が設けられていて、現代でも多くの修行者がこの地を訪れ、道教の修行や武術の鍛錬に精進しています。戦乱の度に幾度となく焼失したそうですが、明の初代皇帝・洪武帝(こうぶてい)が大規模な修繕を行ない現代に至っています。1994年には世界遺産にも登録されています。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
道観の修繕を行なった洪武帝=朱元璋(しゅげんしょう)は、一代にして明王朝を建国した稀代の英雄。「―大明帝国― 朱元璋」を観れば、彼と武当山との繋がりを知ることが出来るかも。
都江堰(とこうえん)
...始皇帝による大偉業の足がかりとなった、中国最古の水利施設 四川省(しせんしょう)の西部に設けられた、中国最古の水利施設。紀元前251年、始皇帝による中国全土統一から遡ること30年前に、秦の太守(たいしゅ=郡の長官)・李氷(りひょう)によって築造されたと言われています。長江の支流である岷江(みんこう)に、中州のような形で築かれたこの施設のおかげで、川の氾濫は抑えられ水害は減少、また水不足の地域に水路を引くことも可能になり、秦の国力は大いに発展しました。こちらの施設は2000年に世界遺産に登録されました。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
「大秦帝国」では、都江堰が建設されるよりもさらに100年前を舞台に、孝公(こうこう)と商鞅(しょうおう)という2人の男が、秦を強国へと作り変えていくさまが重厚なタッチで描かれています。
中国国家観光局オススメの"秋"にぴったりな観光地はこちら!
上海(しゃんはい)
中国最大の商業都市として知られる、アジア有数の大都市。2010年には"より良い都市、より良い生活"をテーマにした「上海国際博覧会2010」が開催されることになっていて、ただいま街中が大変な盛り上がりを見せているとか。また、魚介類を中心に、濃厚な味付けが特徴の上海料理も堪能できるチャンス。◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
戦国時代、楚の国の政治家・春申君(しゅんしんくん)が、この周辺を統治したことが上海の興りだと言われています。ちなみに楚は「大秦帝国」の主役国・秦と、覇権をめぐり争った強国として有名です。九寨溝(きゅうさいこう)
四川省・北部に設けられた自然保護区。世界遺産に登録されるほどの景観を誇り、中でも湖水地帯に流れる水は、透き通るような美しい青さ(その成分中に炭酸カルシウムを多く含んでいるからと言われている)で有名。四季折々の景色が楽しめ、その中でも秋は別格だとか。ジャイアントパンダの生息地としても知られています。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
「大敦煌」第3部は、1930年代の中華民国時代が舞台。この頃は国内での内戦が激化の一途をたどっており、九寨溝近辺でも激しい戦闘が展開したり、革命政権が樹立されたりしたそうです。
北京(ぺきん)
2008年には夏季オリンピックも開催された、中国の首都。日本の四国と同程度の面積を有し、上海共々、アジアを代表する大都市として知られています。紫禁城や天安門広場をはじめ数々の名所が市内に点在しており、暑くもなく寒くもないこの時期は、それらをグルリと見て回るのに最適な季節であると言えます。
◇「中華歴史ドラマ列伝」的観光POINT!
もともとは西域民族の侵攻をたびたび受ける辺境の地でしたが、元が中国全土を統一した際には首都として定められました。その元を駆逐し、明を起こした英雄の一代記が「―大明帝国― 朱元璋」です。
今回ご紹介した観光地以外にも、後漢時代に建設され、仏教聖地として知られている四川省・峨眉山(がびざん)の寺院や、明の時代の街並みが今なお残っている山西省(さんせいしょう)の平遥古城(へいようこじょう)、南宋時代に、中国国内にまで領土を広げた金王朝により築造された北京市内の庭園・頤和園(いわえん)など、中国にはまだまだおもしろいスポットが数多くあります。実際に現地を観光してからでも良し、歴史ドラマで知識を身につけてからでも良し、この連休は、どっぷり中国文化に浸って過ごしてみるのもおもしろいかもしれませんね。
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