第13回 「歴史時代書房 時代屋」の女将が語る 中華歴史ドラマの魅力とは? 文:中国エトセトラ編集部
現在公開中の『大秦帝国』をはじめ『-大明帝国- 朱元璋』や『復讐の春秋 ‐臥薪嘗胆-』(第1シーズン、7月3日リリース)など、注目作が続々登場する中華歴史ドラマ列伝シリーズ。
今回はその魅力を「歴史時代書房 時代屋」の女将・宮本みゆきさんに語っていただきました。
編集部(以下:編):さっそくですが、宮本さんが中国歴史モノにハマッたきっかけは何だったのでしょうか? 宮本さん(以下:宮):よく「三国志」で興味を持って、だんだんと中国史にハマっていくパターンは聞きますけど、私の場合は中学で習った「項羽と劉邦」の漢詩がきっかけです。はじめて読んだ時にすごく興奮したんです! このエピソードをもとに同人誌を作ったりもしたんですけど、友達からはかなりダメ出しを受けましたね(笑)。 編:宮本さんのオススメの時代や、イチオシ武将がいたら教えてください。 宮:「項羽と劉邦」で歴史にハマって、そこから遡るように春秋・戦国時代を知ったので、この時代が一番好きです。ちょうど「史記」で描かれている時代ですよね。武将だと劉邦がいいですね〜。何回負けても這い上がって、最後には項羽を打ち破って天下を取る姿がカッコイイ! それと、劉邦の奥さんの呂雉にも憧れます。“中国三大悪女”の一人として知られていますが、女性ながらに天下を取っていますからね。きっと精神的にも強い人だったのだと。混迷する時代には、女性のズバッとした決断力が必要な時もあると思うんです。それが残酷な面だけクローズアップされたのでしょうね。私も、あんな風に偉くなりたいです(笑) 編:中華歴史ドラマ列伝にも春秋・戦国時代を舞台にした作品がありますが、ご覧になられていかがでしたか?
宮:『大秦帝国』を拝見したんですけど、古代中国の世界観がすごくリアルに再現されていてますね。戦闘シーンだけじゃなく人間ドラマもしっかりと描かれていて、次期君主の座を巡って孝公が葛藤するシーンには思わず見入ってしまいました。商鞅もカッコイイけど、私は孝公派です(笑)。ちなみに、歴史好きな方って「その人物が何を成し遂げたか」で、観る作品を選ぶことが多いんです。ただ「天下を取った」という事実だけじゃなく、「そこに辿り着くまでに、どういう道のりを歩んできたのか?」といった生き様に魅力を感じるんでしょうね。そういう意味では、この『大秦帝国』はすごく見応えのある作品です。 編:映像を通して中国の歴史に触れることについて、ご意見・ご感想を聞かせてください。 宮:純粋に、こういう映像作品が増えてうれしいです。やっぱり映像の影響力ってすごいですから。これまでは本を読んで、想像することしか出来なかった世界が視覚で楽しめるのは大きいですよ。それに、歴史に興味はあってもどこから入り込めばいいのか分からない初心者の方にとっても、良い入り口になりますしね。あとドラマや映画って、観たときの年齢や環境で、受け取り方が全然違ってきますよね。子供の頃に観た映画でも、大人になってから観かえしてみると新しい発見がたくさんあったりする。そういう見方が出来るのは、映像作品ならではの楽しみ方ですよね。特に歴史ドラマって何年経っても古びませんから、歴史ファンには是非オススメしたいコンテンツですね。 編:今後は、どういったテイストの歴史ドラマがヒットすると思われますか? 予想を聞かせてください。 宮:以前は「天下を統一した」とか「暴君を討ち取った」といった具合に、成功した人物が人気だったのですが、最近では「天下は取れなくても、自分なりの生き様を貫いた」武将がクローズアップされてきています。特に最近だと、良い人過ぎたために志半ばにして倒れる“悲劇のヒーロー”が、歴女の間でブームになっていますね。 編:これから中華歴史ドラマ列伝をご覧になるみなさんに一言お願いします。 宮:ここ数年の歴史ブームで広く認知されるようになったとはいえ、中国歴史モノといえば、まだまだ「三国志」が主流です。でも、それ以外の時代にも、すてきな武将が活躍するエピソードがまだまだあります。たくさんの人に中国史そのものに興味を持っていただいて、それらを楽しんでもらえるとうれしいです。 宮本さんが女将を務める「歴史時代書房 時代屋」は、時代小説や歴史書といった各種書籍をはじめ、DVD・ゲームに雑貨、さらに飲食など、“歴史”をテーマにした商品を多数取り扱うエンターテインメント型書店。「中華歴史ドラマ列伝」で中国の歴史に親しみ、より詳しい情報を「時代屋」で探し出すといった具合に、両者を有効活用して歴史ドラマを存分に満喫してみてはいかがでしょう? |
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